ボクシングジムでダイエットした日々

高校生の時に体を絞るダイエットをしたいけどやる気が出ないというジレンマに陥ってしまった訳なのだが、ある日学校から帰るときに新しくできたボクシングジムを発見したんです。僕はスポーツは嫌いやったけど、格闘技の試合を見るのは滅茶苦茶好きやったんです。で、気になって自転車を止めて覗いていたら中でサンドバックを叩いていたおじさんが俺に向かって手招きしてきたんですわ。

結構厳ついおじさんだったんで逃げようかなって思うたんですけど、よーく見ると笑ってたんでとりあえずジムのドアを開けて「なんですか?」と訪ねたんです。

「なんですかやあらへんやろ! 兄ちゃんボクシング好きなんやろ? やっていきや!」

「いやぁ、俺お金ないですから、ジムなんて通えんですよ。だから遠慮しときます」

「いらんいらん! 金なんかいらんわ!」

「は?」

「客寄せや。兄ちゃんみたいな若いもんが中にいれば似たようなもん寄ってくるんや。適当に遊ばせたるから、自由に体動かしてったらええねん! で、本気になったら金払ってくれればええから!」

おじさんはげらっげら笑ってグローブで俺の背中を叩いた。まぁようは桜ってやつだね(笑)。その後俺みたいに声をかけられたのは他にも2人いた。

で、そのジムには高2の夏から通い出して、専門学校を卒業するまで通った。専学時代から金を払うようになったが、高校在学中はびた一文払わなかった(笑)。それで文句は言われなかったし、むしろ飯をおごってもらったりしたくらいだ。

とにかく汗をかいて死んだように眠れる!

俺はスポーツ嫌いのくせに体力には自信があった。生まれ持ったなんたらかも知れない。マラソン大会や陸上大会でもやる気は無いがそこそこ良い成績を小学中学と見せていた。でも、1番2番を争うほどじゃないし、ベスト10にも程遠い。まぁ何か大会があるたびに、「意外とスポーツマンなのね」と驚かれるくらい。

だからボクシングの練習もそんなにビックリするほどではないだろうと思っていたのだが、ビックリした(笑)。初日におじさんとスパーリングをしたのだが、俺はリングに大の字になってしまった。おじさんに抱えられないと足がぶるぶる震えて立てないほどに疲れてしまったのだ。こりゃあ、半端なものではないと思ったね(笑)。

で、そのボクシングジムには週3日は最低でも通った。おじさんがそれくらいは毎週顔出してくれって言ったのだ。多いときでは月~金まで通ったこともある。土日はおじさんは休みで変わりの元プロボクサーっぽい人がいたのだが、その人はあんまり相性が良くなかったので行かなかった(苦笑)。怖いとかじゃなくて、無口であんまり指導してくれない人だったのだ。もっとも、話しかければ丁寧に教えてくれたのだが。きっと向こうも俺みたいな小僧と話しをするのが苦手だったんだろうなぁ。

そんなことはさておき、とにかく俺は高校時代から専門学校時代にかけてボクシングジムに通ったお陰で絞れた体を維持できていた。ちょっと太ってきたな…… というのとは、30歳を過ぎるまでは無縁だった。そう30歳を過ぎるまでは(苦笑)。